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正月の一日は、日のはじめ、月の始め、年のはじめ、春の始め。これをもてなす人は、月の西より東をさして満つがごとく、日の東より西にわたりてあきらかなるがごとく、徳もまさり、人にも愛せられ候なり。
そもそも地獄と仏とはいずれのところに候ぞとたずね候えば、あるいは地の下、と申す経もあり、あるいは西方などと申す経も候。しかれども詳細にたずね候えば、我等が五尺の身の内に候とみえて候。さもやおぼえ候ことは、我等が心の内に父をあなずり母をおろそかにする人は、地獄その人の心の内に候。たとえば、蓮のたねの中に花と菓との見ゆるがごとし。仏と申すことも、我等の心の内におわします。たとえば石の中に火あり、珠の中に財あるがごとし。我等凡夫は、まつげの近きと虚空の遠きとは見候ことなし。我等が心の内に仏おわしましけるを、知り候わざりけるぞ。
・・・・中略・・・・
いま正月の始めに法華経を供養しまいらせんとおぼしめす御心は、木より花の咲き、池より蓮のつぼみ、雪山のせんだんひらけ、月の始めて出るなるべし。いま日本国の、法華経をかたきとしてわざわいを千里の外よりまねき寄せぬ。これをもって思うに、いま法華経を信ずる人はさいわいを万里の外よりあつむべし。影は体より生ずるもの、法華経をかたきとする人の国は、体に影の添うがごとくわざわい来るべし。法華経を信ずる人は、せんだんに香ばしさのそなえたるがごとし。またまた申し候べし。
(重須殿女房御返事・定一八五五頁)
この御文章は日蓮聖人のご信者の重須殿女房が、おもち百枚とお菓子ひとかごをご供養くださった御礼のお手紙です。
この中に日蓮聖人は、お正月の心くばりができる人は徳が増す。地獄も仏もわが身のなかにある。なんでもないと思うもののなかからすばらしいものがあらわれるようなもの。お正月の始めに法華経を供養しようとする心がすばらしい。いま日本は法華経を迫害したために災いを蒙古から招いてしまった。いまのあなたは法華経を信じて幸せを四方からあつめるだろう。法華経を信ずる人は香り高いせんだんの木にさらに良い香りを加えるようなものである、と示されておられます。すなわち、正月元旦の祈り、法華経を信ずることが肝要であると日蓮聖人はおっしゃりたかったのではないでしょうか。
ところで、皆様はお正月にお屠蘇気分になっつてでも初詣にいかれ、お願いごとをされると思います。願いがかなえられるかどうかは別にしましても、その皆様の願い、祈りを突き詰めて考えてみますと「除災得幸」、つまり災いを除き幸いを得るということになるのではないでしょうか。たとえば何かやりたい仕事があって、それを無事成就させんが為、困難なこと、あるいは不慮の災いが生じないように祈る。また、とりあえず健康で無事一年が送れるように、病気や、老いからくる体の不自由が少しでも除かれる様に願いを込める。これからはやはり起こって来る災いを除くということで、「除災得幸」になります。
こういった様々な願いをひっくるめて、災いのないよい一年でありますようにと、新年を迎えて祝祷会を修するようになっつたものと思います。
日蓮聖人は、四条金吾女房が三十三歳の厄を迎えたとき説き示された書に、「法華経を信仰すれば、七難即滅、七福即生といわれ、三十三の厄は転じて三十三の幸いとなるでしょう」(定・八五八頁)と記されています。「災いを除き幸いを得る」ためには、「法華経を信仰する」ことが最も肝要だとされるのです。
「法華経を信仰する」というのは、法華経任せ、あなた任せの信仰ということではありません。法華経に明かされた久遠の本仏の慈悲の御手にしっかりすがり、仏と共に歩むことであります。
人任せ、他力であっては、仏様の御手にすがることはできません。自分の手に力を込めてしっかり握りしめ、握り返さなくてはなりません。さらに仏様が手を引いて導いて下さっても、自分の力で歩かなければ先へ進むことはできません。自身の力で、自身の心によって、自らなす。これが本当の信仰といえるのではないでしょうか。
この一年、皆様お一人おひとりが、御自身の信仰の力によって、たとえ災いが起ころうとも転じて幸いとし、本当に良い年であったと思えるような、そんな一年にしていただきたいと心からお祈り申し上げます。
合掌
藤田尚哉
去る四月七日、当山勝光寺に於きまして日蓮聖人立教開宗七五〇慶讃音楽大法要を行わせていただきました。
この法要は、教義を立て、宗の開かれたこと、つまり宗門誕生を慶讃する法要です。
建長五年四月二十八日、長い求道研鑽の旅から戻られた三十二歳の是聖坊蓮長法師は、故郷安房の国、清澄山の一角に立ち、太平洋の彼方から無明の闇を破って昇る太陽に向かい、初めて南無妙法蓮華経とお題目を唱えられました。
そして、自ら名を日蓮と改め、「法華一乗・釈尊一仏」を伝える初転法輪を行ったのです。この日から仏使・日蓮としての法華経色読の人生と、同時に三類の強敵による法難の人生が始まります。すなわち日蓮宗の誕生です。
今回の法要では、天正七年・織田信長の命により、安土城内で行われた浄土宗と法華宗との宗論(宗派の優劣を述べたてて論争すること。)「安土論争」をモチーフに演じられた狂言を皮切りに、その狂言の歴史的背景を松林院住職で日蓮宗専任布教師の大西上人にお話いただきました。
その後、当山の藤田住職を導師に二十一名のお上人方で行われた法要は荘厳でかつ優美に繰り広げられました。立教開宗されたその心と、それを引き継ぐ者達のお心を、感じさせられたように思います。
我々もこの法要を通じ法華経の教義を再認識し、檀信徒の皆様と共に現代における新たな宗門のあり方を模索していきたく思っております。
この場を借りまして、法要をお手伝いいただきました檀信徒の皆様に、心より御礼申し上げます。
平成十四年度、勝光寺・龍嶽院合同の勝岳会物故者追善法要が、当山住職導師のもと、福澤・鶏内両上人を式衆に厳粛に執り行われました。
御宝前には、平成十三年六月から平成十四年五月までに亡くなられた会員の大塔婆が建てられ、故人の御家族・物故者会員の方々が見守られる中、追善の読経が行われました。
故人が生前行われた御法功に深く感謝するとともに、心より御冥福をお祈り申し上げます。
物故者の方々は、皆様と同様お寺の発展に力を注がれた方々です。来年度の法要には、是非お参り下さい。
八月十八日、琵琶湖船上に於いて当山住職導師の下、福澤・鶏内両上人を式衆に施餓鬼法要が執り行われました。
当日は小雨降るあいにくの天気となりましたが、多数の参加者にも恵まれ、船上にはうちわ太鼓の音とお題目の声がこだまし、熱気に溢れていました。檀信徒の方々の声を嗄らしてお唱えされる姿は、各家先祖様の霊をはじめ、有縁無縁の霊へ届いたのではないでしょうか。
法要の後、檀信徒の方々と昼食をとり、親睦を深めさせて頂きました。
一日がけの法要では御座いますが、さらに多くの檀信徒の方々の参加を楽しみにしております。
去る十一月十日(日)勝光寺・龍嶽院合同の宗祖日蓮聖人報恩御会式が、勝光寺本堂に於いて執り行われました。
御会式は、保育園の「なかよし祭り」と同時開催で行われ、出店やバザーなどもあり賑やかなものになりました。
当日午前九時より各家先祖の追善法要を行い、檀信徒の方々と共に御先祖様の報恩に感謝し、家内安全・子孫長久・身体健全をお祈りしました。
引き続き、檀信徒の方々・龍樹の会・保育園の先生方の参加を得て、万灯行列が勝光寺周辺を練り歩きました。毎年万灯には、檀信徒の方々の手で造られた桜が飾られ、見るものを楽しませてくれています。本年は、勝光寺正門(万寿寺通り)より長国寺をへて五条通りを通り正門まで戻る、約一時間の行程となりました。勝岳会の青年部となる龍樹の会が発足したことで、纏を振る若手も増え活気溢れるものとなりました。
午後からは、まず七五三祈祷が行われ、子供たちの健やかな成長に感謝するとともに、今後の成長をお祈りしました。御祈祷の間緊張した面持ちで座っていた子供達でしたが、御祈祷が終わり住職よりお守りと千歳飴とお土産を頂いた時の笑顔は印象的でした。
引き続き、当山住職導師のもと北山・杉山・児玉・角道・福澤・上田・高桑・鶏内の八上人を式衆に宗祖日蓮聖人御報恩謝徳御会式法要が執り行われました。日蓮聖人の御入滅時を想わせるように咲いた本堂内の桜が、さらに法要を盛大なものに感じさせてくれました。
また、毎年恒例のバザーは皆様のご協力のお陰で多数の出品があり、大変盛況なものとなりました。このバザーでの収益金は、今後の勝岳会運営資金として様々な行事に有効に使わせて頂きます。
去る十二月二十一日、勝光寺に於きましてお身拭い・すす払い・大掃除をいたしました。
当日は、勝光寺総代倉橋松司(倉橋仏具店)様指導の下、総代の方々をはじめ、役員の方々の協力を得、仏様を一体一体御宝前・須弥壇より下ろし、一年の垢を払い落としました。大掃除を終えた本堂は、これから迎えるお正月に向け輝きを取り戻し、仏様はにこやかな表情を浮かべておられました。
寒い中での作業ではありましたが、仏様のお身拭いと同時に、我々の一年の垢も落として頂いた気がします。
年末の忙しい中、一生懸命にお手伝い頂いたことを、心から御礼申し上げます。
第四回 総代 安藤幸治
「庭と心」
春は嵐山 醍醐 御室の桜
秋は大原 東山 高雄の紅葉
京都では、桜・紅葉が映える美しい寺社が点在し、春夏秋冬の移り変わりを雅やかに演出してくれています。その様々な景色は、眺めているだけで私達の心を和ませてくれるものがあります。
不況の中 家庭でも草木を育て楽しむ人々が多くなったように思います。
一株の苗から花を咲かせ草木を育てるには、汗を流し土を掘り肥料や水をやる日々、子供を育てるような愛情が必要です。
多くの人々が草木を育てることで、京の街が緑の多い風情のある街になってほしいと思います。
勝光寺でも皆様の奉仕やご指導のお陰で草木が育ち、美しい花が咲き、優しい香り漂う庭になりつつあります。心身をいやし・心和むお寺になる様に皆様のご援助を頂き努力をしていきたいと思います。
平成十五年 勝岳会行事案内
【年中行事】
六月
物故者追善法要
於 勝光寺
八月
川施餓鬼大法要
於 琵琶湖
十一月
日蓮聖人御報恩 御会式・バザー
於 勝光寺・たちばな保育園
十二月
お身拭い・大掃除
於 勝光寺・龍嶽院
【毎月の行事】
写経会
於 勝光寺 毎月十六日一時半より
◆勝岳会の行事は、皆様の勝岳会費により運営されています。
皆様のご参拝、ご参加をお待ちしております。
◎年中行事案内
― 勝光寺・龍嶽院・長徳寺
1月
大黒尊天福寿大祭
勝光寺
京都市中京区
中道寺西寺町1
電話.075-812-3295
FAX.075-812-3252
龍嶽院
京都市左京区
東大路二条下る北門前町481
電話.075-771-6889
FAX.075-771-6889
長徳寺
船井郡園部町口人五反田92
電話.0771-63-5885
◎園部の長徳寺には大黒様を祀っております。甲子大祭の日は、朝九時より午後四時まで受付けております。
2月
荒行僧による特別祈祷会
20日
長徳寺大黒様初甲子大祭
3月
春季彼岸会法要
4月
花祭り
鬼子母神千団子法要
法華経千部読誦会
21日
長徳寺大黒様甲子大祭
5月
稱観世音菩薩御開帳
並 春季水子供養大祭
6月
勝岳物故者追善法要
20日
長徳寺大黒様甲子大祭
7月
土用の丑 特別祈祷会
土用行朝参りお題目修行
8月
盂蘭盆会法要
各家お盆棚経
送り火法要
川施餓鬼大法要
19日
長徳寺大黒様甲子大祭
9月
秋季彼岸会法要
10月
七面様大祭
並 秋季水子供養大祭
18日
長徳寺大黒様甲子大祭
11月
日蓮聖人御報恩御会式
並 万灯練供養・バザー
12月
お身拭い・大掃除
17日
長徳寺大黒様おさめ甲子大祭
●勝岳会費・護持会費 山納のお願い
勝光寺・龍嶽院におきましては、勝岳会費・護持会費として年間9600円を納めていただいております。
勝岳会会費は、勝光寺・龍嶽院両壇信徒の親睦を図り、お寺の行事を援助し、合同の団体参拝旅行等の企画・実行、勝岳会便りの発行などのために利用しております。また、護持会費は墓地の管理はもとより、両寺院の火災保険料・修繕費用・課金等に当てさせていただいております。
山納していただく方法といたしましては、下記の振込口座にお振込みいただくか、お寺にご持参いただくかでございます。会費の趣旨をご理解の上、山納頂きますようお願い申し上げます。
護寺会費
月額
500円×12
勝岳会費
月額
300円×12
合計
年間
9,600円
宗教法人 勝光寺 振替 00920-7-140010
宗教法人 龍嶽院 振替 00990-4-140009
※手数料70円が必要となります。
※詳細は勝光寺までお問い合わせください
電話.075-811-3295 FAX.075-812-3252
皆さんは六曜をどのような時に使われますか? 大抵の方は、仏事や結婚式の時くらいではないでしょうか?鎌倉時代末期から伝わる六曜というものを、もう少し深く探ってみましょう。
六曜には先勝、友引、先負、仏滅、大安、赤口があり、この順番で繰り返されます。しかし月初めは一月・七月―先勝、二月・八月―友引、三月・九月―先負、四月・十月―仏滅、五月・十一月―大安、六月・十二月―赤口と固定されています。よって、暦では月日により六曜が決まることになります。
六曜の運勢は次の通りです。
先勝
―
急用や訴訟等には吉。午前中は吉。
友引
―
葬式・法事には凶。夕刻は大吉。
先負
―
控え目に静観が良い。午後からは吉。
仏滅
―
何事をするにも忌み慎む方が良い。
大安
―
何事をするのにも大吉の日。
赤口
―
何事をするにも忌むべき日。
牛の刻(正午を中心とする二時間)のみ吉。
となっています。このような事をふまえて、こよみを見られると楽しめるのではないでしょうか。
《編集後記》
◇
合掌 この編集をするにあたり、多くの檀信徒の方々に文や挿絵を描いて頂き感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。
早いもので、私が勝光寺にお世話になって初めてのお正月を迎えようとしています。こんなにも時が速く過ぎていくのかと、驚いております。時の流れに流されないよう、檀信徒の方々と共に自分というものを磨いていきたいと思います。
本年も、どうぞ宜しくお願いします。
再拝 鶏内 泰寛
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発行所 勝岳会 京都市下京区中堂寺西寺町1 勝光寺内
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発行者 藤田 尚哉
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編集者 鶏内 泰寛、西村 すなお
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